主に90年代から盛んになったジャンルで、Ramonesの影響を強く受けた甘く切ないメロディのロックンロールパンクを指します。
8ビートのバンドがほとんどで、演奏は至ってシンプル。代表的なバンドはScreeching WeaselやQueersなどが挙げられます。
根底にロックンロールがあるという点ではパワーポップやガレージパンクと非常に似ており、その境界線が曖昧な部分もありますが、この頁ではそれらも踏まえた広義のポップパンクを紹介していくつもりです。
ベン・ウィーゼル率いるポップパンクの代表格。 いまだにフォロアーが後を絶たない非常に影響力のあるバンドです。 本作は一度解散した彼らが再結成後に発表した作品で、ポップパンク入門には最適な1枚。 初期に見られたハードコア色が薄まり、Ramones直系のポップなメロディーが存分に発揮されています。 人によっては全曲同じに聞こえてしまうかもしれませんが、その金太郎飴スタイルこそがポップパンクの神髄だったりします。
Screeching Weasel、The Mr. T Experienceと並ぶ、Look Outの3大ポップパンクバンドの1つ。 デビュー当時はノイジーで荒々しいパンクバンドでしたが、再結成後に今のスタイルを確立しました。 Ramonesを土台にBeach Boysのサーフメロディを加えたような爽快サウンドで、本作は特に「海」のイメージを強く纏った内容となっています。 メンバーは変わりましたが、いまだに現役で活動している息の長いバンドです(最近新作もリリースしました)。
Beach Boys…Queersは本作からBeach Boysの影響が顕著になっている。特にメロディの引用が多くみられる。
Lookout Recordsと聞いて真っ先に思い浮かぶのがこのバンド。 Screeching WeaselやQueersと違ってハードコアの残り香のようなものが無い、シンプルなロックンロールサウンドです。 個性に欠ける部分はあるかもしれませんが、良質のポップソングを現役で書き続けている数少ないベテランバンドではないでしょうか。 ギターボーカルのフランクはUnlovablesという女性ボーカルのバンド(最高!!)でもギターで活躍中。
天才メロディ・メイカー、デイブ・パラサイトが率いるバンド。 メロディが抜群に優れていて、ポップパンクのファンには神と崇められています。 特に90年代のポップパンクを代表する本作は、代表曲「Crazy」を筆頭に珠玉の名曲を多数収録。 こんなに素晴らしい曲を書くバンドが、一部のマニアにしか聴かれていない状況が惜しくてたまりません。 廃盤のため入手は困難ですが、つい最近ベスト盤「Retro Pop Remasters: Best of Parasites」がリリースされました。
カナダの青春全開ポップパンク。 このアルバムは彼らの最高傑作であると同時に、ポップパンク史上屈指の名盤です。 まるでDescendentsとRedd Kross をミックスしたかのような、正にパンクとパワーポップの良いとこ取りなサウンド。 そのロックンロール風味の効いた極上ナンバーの数々には何度も震えました。 ポップパンク、パワーポップ、ガレージパンク好きは間違いなく押さえておきたい1枚です。
Descendents…BUMは自分たちのサウンドを「DescendentsミーツRedd Kross(初期)」と形容している。
Parasites、Bumと並んで90年代を代表する青春ポップパンクバンドの一つです。 Lat BastardsというバンドからDevil Dogsと枝分かれしたバンドで、ガレージ度は若干高め。 Ramonesへの愛で溢れていて、ボーカルの歌い方は明らかに意識しています。 とても良い曲を書くバンドだったのですが、3枚のアルバムをリリースしたあと消息不明に。 最高傑作である本作は、特に後半の流れが感涙モノです。
若干Mr. T〜にも通ずる、シアトル産のポップ&キャッチーなロックンロールパンク。 4thアルバムの日本盤がPizza Of Deathから出た事もあって、日本ではそこそこの知名度です。 そのアルバムではHusking Beeのカバーをしたりなど、日本贔屓なバンドだったのかもしれません。 地元シアトルでもかなりの人気を博していたそうで、Sickoからの影響を公言するバンドも多数います(MXPXなど)。 解散後にベスト盤「A Brief History of Sicko」をリリース。
Screeching Weaselが一度解散した80年代の終わりに、 メンバーであったベーシストとドラマーによって結成されたバンド。 と言ってもScreeching Weasel直系というわけではなく、シカゴのNaked Raygunなどの影響大な哀愁漂うサウンドです。 しかし随所に見られるチープな単音ギターは正にScreeching Weaselそのもの。 その後再結成したScreeching Weaselへの布石としての重要な役割を果たしたバンドではないでしょうか。